- 2025年9月15日
腰椎椎間板ヘルニアとは?
・腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板が変性し、一
部が突出して神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす疾患です。発生する部位に
よって名称が異なり、頚椎椎間板ヘルニア・胸椎椎間板ヘルニア・腰椎椎間板ヘルニアに
分類されます。その中でも、最も発症しやすいのが腰椎椎間板ヘルニアです。

・腰椎椎間板ヘルニアの原因
椎間板は、体重を支えるために常に大きな負荷がかかっています。日常生活の中でも、座
る・前かがみになるといった動作だけで、体重の約2.5 倍の圧力が加わるといわれていま
す。これらの負荷が積み重なることで、椎間板が変性し、ヘルニアの原因となります。
特に以下の要因が腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクを高めます。
・重い物を持ち上げる・引っ張る動作
・体をひねる・前屈する動作の繰り返し
・⻑時間の立ち仕事・座り仕事
・体重増加
・加齢による椎間板の老化
・先天的な骨格や体質
椎間板の中心には髄核と呼ばれるゼリー状の組織があり、加齢や負荷の影響で⻲裂が生じ
ると、髄核が外に飛び出し神経を圧迫。これが痛みやしびれの主な原因となります。


・腰椎椎間板ヘルニアの症状
ヘルニアの程度によって症状は異なりますが、主な症状として以下が挙げられます。
・腰や背中の痛み・しびれ
・腰を前に曲げにくい
・腰を曲げると太ももやふくらはぎに痛みが走る
・片側の足にだけしびれや痛みを感じる
・腰痛がひどく歩くのがつらい
・排尿障害・便秘傾向
・足首の捻挫を繰り返す・つまずきやすい
飛び出した椎間板が片側の神経を圧迫することが多いため、症状も片足だけに現れること
が一般的です。これらの症状がある場合は、早めに専門医へ相談し、適切な検査・治療を
受けることが重要です。


・腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
<保存療法>
・薬物療法
神経痛を抑える薬や消炎鎮痛薬(NSAIDs)を使用し、痛みの緩和を目指します。神経痛
を抑える薬は眠気などの副作用がありますが、一定期間継続することで効果を発揮するた
め、急に中止せず継続することが推奨されます。症状が強い場合は、複数の薬を組み合わ
せ、改善に応じて徐々に減量します。
・ブロック注射
仙骨硬膜外ブロック注射は尾てい骨付近から注射し、神経根ブロックは痛みの原因となっている神経をピンポイントでブロックする方法です。ブロック注射は、痛みの軽減だけでな
く、どの神経が原因となっているかを特定する診断にも役立ちます。特に、透視装置(レ
ントゲン)を使用することで、より精度の高い神経根ブロックを行うことが可能です。

・腰椎椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
この治療は、「腰椎椎間板ヘルニア」に対して行われる新しい治療法の一つで、「椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア治療)」と呼ばれます。
・治療の目的
椎間板ヘルニアは、椎間板(背骨の骨と骨の間にあるクッションのような組織)の中身が外に飛び出して、神経を圧迫することで、腰痛や足のしびれ・痛みを引き起こします。
この治療では、「ヘルニコア」という薬剤(酵素)を椎間板内に注射し、飛び出した椎間板の中身(髄核)を部分的に分解・縮小させることで、神経への圧迫を軽減し、症状の改善を図ります。
・ 適応となる患者さん
・保存療法(薬物療法やリハビリなど)で十分な効果が見られない方
・ヘルニアの状態が画像上この治療に適している方
・比較的若年〜中年の方で、椎間板がまだある程度保たれている場合
※全てのヘルニアに対して有効というわけではなく、MRIなどの画像診断をもとに、適応かどうかを慎重に判断します(当院ではできないので、行える病院を紹介します)

<手術療法>
保存療法で改善しない場合は、手術を検討します。症状の進行や生活への影響を考慮しな
がら、適切な治療法を選択することが重要です。