- 手指が痛い
- 手指が変形してきた
- 手指のこわばり感がある
- 手指に小さな水疱がある
「歳だから仕方ない、治療法はない」と言われた事はありませんか?
手指の変形と疼痛について
手指第1関節の変形をへバーデン結節といい、第2関節の変形をブシャール結節といいます。頻度の多い、へバーデン結節について以下説明しています。
へバーデン結節
指の第1関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。この疾患の報告者へバーデンの名にちなんでヘバーデン結節と呼ばれています。
症状:
示指から小指にかけて第1関節が赤く腫れたり、曲がったり、痛みを伴うこともあります。母指(親指)にもみられることもあり、第1関節の動きも悪くなります。また、痛みのために強く握ることが困難になります。第1関節の近くに水ぶくれのような透き通ったでっぱりができることがあります。これをミューカスシスト(粘液嚢腫)と呼びます。
診断:
レントゲンにて骨の変形など確認します。
治療:
以前はテーピング固定や湿布、鎮痛剤内服で経過をみるしかなく、重症の場合は手術加療を選択される方もいました。
経過をみるしかなく、手指についてずっと悩まれている方が多い状況です。
最近、女性ホルモンと手指の症状との関連について注目されており、エクオールが有効であることがわかってきました。
なぜ有効かの前に、女性ホルモンは卵巣から分泌されるホルモンで、エストロゲンとプロゲステロンの2種類ある事はご存じでしょうか?簡単に言えば、女性らしい体を作るのがエストロゲンであり、妊娠に関わるのがプロゲステロンです。エストロゲンの分泌量は年齢と共に変化し、ピークは20代後半から30代前半です。30代後半になると分泌量は低下し始め、閉経前後の45~55歳には激減してしまいます。
へバーデン結節やブシャール結節はエストロゲン低下の影響を一部受けていると言われています。エストロゲンには受容体が存在し、αとβの2種類があり、αは子宮内膜や乳腺に、βは骨、脳、血管、さらには関節包、腱鞘、靭帯の滑膜などにも存在します。
月経周期で考えるならば、排卵後にエストロゲンの量が低下して滑膜が厚くなります。同様に手指についても滑膜が存在し、エストロゲン不足によって関節や腱が腫れるようになります。
エクオールとは?
エクオールは大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が、腸内細菌の力を借り、変換されることで生まれます。エストロゲンに似た構造をしており、さらに似た効果を発揮すると言われています。
エクオールは2人に1人しか作れない
エクオールを作る腸内細菌を持っているのは日本人女性では5割程度と言われています。つまり女性の2人に1人は、大豆イソフラボンを摂取しても、体内でエクオールを作ることができないのです。
あなたはエクオールを作れる?作れない?
当院では検査キット(尿検査)を採用しており、エクオールが作れるかどうかがわかります。
エクオールの効果
注意点
手指の変形を治すわけではなく、手指の症状進行予防や疼痛軽減に効果があります。全ての人に効果があるわけではありませんが、3か月ほど試すと効果を実感できる方がいます。
その他、ホットフラッシュや首こり肩こり、肌のシワの改善、骨密度減少の抑制と悪玉コレステロールの減少を認めています。(出典:Aso T, et al., J Womens Health 21, 92-100, 2012 改変)
<診察の流れ>
- ・手指の状態について、診察して確認
(第2関節の痛みなどでは、関節リウマチの可能性がないかどうかなど) -
- ・必要時は、エクオールを産生できるかどうか検査
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- ・エクオール産生が低値であれば、エクオール内服を開始
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- ・再診にて、手指の状態を評価
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- ・エクオールの効果不十分な場合、その他の治療として漢方治療の相談へ